私は『嫌われる勇気』を読んで人生感が変わりました。
それほど、この本は素晴らしいものだと思っています。
けれど、タイトルで誤解している人が多いのでは?とも感じます。
「読書感想文の課題図書になるような本だから子供向けでしょ?」
「大ベストセラーだし、小手先のテクニック本で本質的じゃないんだろうな」
私も実際に読む前は上記の様に感じていました。
しかし、そんな私ですが
ランニングをしながらオーディオブックで『嫌われる勇気』を聴いていたら、いつのまにか涙していました。
今、学業で、仕事で、悩んでいる全ての人に『嫌われる勇気』を読んでアドラー心理学を知ってもらいたい。
そんな思いから『嫌われる勇気』を私が読んだ感想と要点をまとめました。

嫌われる勇気の感想とまとめ
「何をやっても上手く行かない」
「どうせ自分なんてだめだ」
「他人と比べて自分は恵まれてない」
そんな事を思っている人は少なくないはずです。
私も、そうでした。
高校受験は失敗。
そこから、自信がなくなりグレて遊び呆けていました。
その後大学受験では死ぬ気で勉強して大学に入って、就職も希望のところには入れたのですが、その後の配属では一番希望しない部署、そして「自分は不幸だ」「こんなに努力しているのに誰も認めてくれない」そんな事を思いながら仕事をしていました。
そんな中でも自己暗示的に「自分は出来る人間だ」と思いながら生きてきました。
しかし、『嫌われる勇気』を読んでアドラー心理学に会ってから改めて自分と向き合い、本当に前に進む事が出来たと思っています。
今回はこの『嫌われる勇気』の中でも特に良かったと思う部分をまとめてみました。
アドラー心理学とは
そもそも、今回の『嫌われる勇気』とは何でしょう。
『嫌われる勇気』は安易な自己啓発本ではなく、アドラー心理学という学問を元にして書かれている本になります。
アドラー心理学とは、正式には個人心理学と呼ばれ
アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)が創始し、後継者達が発展させてきた心理学です。
もともとアドラーはフロイトと共に研究をしていたが、大きく学説が異なった事から袂を分かち、別々の学説へとたどり着いています。
原因論から目的論へ
続いて、アドラー心理学の最初の1歩「原因論と目的論」の話です。
原因論と目的論とは何か。
引きこもりになった人は「なぜ引きこもりになってしまったのか」
こう考えるのは、原因論です。
引きこもりになった人は「なんのために引きこもった」
こう考えるのは、目的論です。
『嫌われる勇気』の中では、引きこもりになった人は何かが原因で引きこもっているのではない「親の気を引きたくて引きこもっているのだ」という話をしています。
そのため、アドラーはトラウマの存在も否定します。
過去が原因で今が決定してしまうなら人間は幸せになれない。
これはだいぶ刺激的な理論ですが、これが私の中では一番の学びになりました。
自分は不幸だという状況を守りたかった
私は配属先にも、上司にも恵まれず死ぬ思いをしながら働いていたと思っていました。
つまらない単純作業も朝までやり、率先して雑用をしていました。
心のなかでは「なんでこんな事しなければならないのか」と思いながら。
当時は「どうしてこんなに不幸なのだろう」「周囲が全く助けてくれない、恵まれない」そう思いながら働いていました。
しかし、それは「不幸であるという自分を守るために」とっていた行動であり「誰かに助けて欲しい」「可愛そうだと思って欲しい」そう思い行動していたのだと気付かされました。

全ては対人関係の悩みである
アドラーは人の悩みは全て対人関係から生まれると言っています。
自分以外の人類がこの世から居なくなればほぼ全ての悩みは無くなるとも。
アドラーの言う対人関係の悩みの中で大切なのは「優越性の追求」と「劣等コンプレックス」だと感じました。
優越性の追求と劣等コンプレックス
優越性の追求とは、理想の追求の事で、それ自体は悪いことではないとアドラーは言います。
しかし、この理想の追求が自分の理想と現状の差異の比較だったら良いのですが他人との比較になってしまった場合は”競争”になってしまうとも言っています。
そして、「劣等コンプレックス」とはこういった優越性の追求の結果他人と自分を比較して「自分は容姿が悪いから彼女が出来ない」「自分には才能が無いから成功しない」と劣等感を言い訳に使ってしまう事を劣等コンプレックスと言います。
私も、楽しそうに働いている同期と自分を比較しては自分の境遇を嘆いていました。
しかし、今思うとそれも劣等感を言い訳にした劣等コンプレックスであり自分の理想と向き合ってこずに、他人との比較に勤しんでいた結果だったのだと思います。
「あいつは部署に恵まれてるからこんなすごい仕事が出来る」
「あいつの上司はいい人だからこんなすごい成果があがる」
と思っていました。
しかし、それは自分の理想から逃げた結果の思考であり劣等コンプレックスにより「自分は環境に恵まれないからこんな成果しか出せない、理想の仕事が出来ないんだ」と思っていたと気づきました。
学習性無力感
この劣等コンプレックスに似たものに「学習制無力感」というものがあります。
詳しい内容は調べて貰えればと思うのですが「学習制無力感」とは犬に電気ショックを与える実験で片方の犬には「電気ショックが止まるスイッチを」もう片方には「何をしても電気ショックが止まらない」状況を与えると、何をしても電気ショックが止まらなかった方の犬は、逃げられる状況で電気ショックを与えても「何をしてもしょうがないと逃げずに電気ショックを受け続ける」という実験から得られた結果をもとに提唱されたものです。
人間も、強いストレスや失敗を繰り返した人間は「もう何をしても無駄だ」と思い行動を起こせなくなるのです。
「他人との競争」に敗れて劣等コンプレックスに逃げ込んでしまう人は、この学習制無力感とも似ていると思います。
また、これは昔のサラリーマンが上司からの厳しいパワハラを受けながら軍隊の様に組織に馴染んでいく様子にも似ていますね。

自分の課題に他人の課題を介入させない
You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.
これは、イギリスのことわざで「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という意味のものになります。
アドラーは「自分の課題に他人の課題を介入させてはならない」と言います。
それはどういうことなのか、それを解説していきたいと思います。
他人を変えることは出来ない
「つかえない部下がいるからまともに仕事が出来ない」
こういった問題は他人の課題であり、「仕事で成果を出す」というあなたの課題では無い。
介入出来ない問題にまで気を向けて「だから仕事が出来ない」と言うのは課題の分離が出来ていないとアドラーは言います。
正直これに対しては「上司を変える」「部下を変える」という選択肢を社内政治を駆使して実施する方法がなくも無いのが実態です。
しかし、ここで重要なのは「他人は変えられない。自分が変わるしかない。」という思想です。
マイクロソフトの有名人澤円さんなども「ムカつく上司を変える事は出来ない。無視しろ。」と言います。
だから自分が変わるしか無い。
「その部下が成長をしやすい環境を整える(しかし、成長をしようと思い努力するかは部下の課題である)」
など自分が出来ることをして「仕事で成果を出す」のがあなたの課題なのです。
人事を尽くして天命を待つの精神ですね。
自己受容
このあと、アドラーは「共同体感覚」の話をしていきます。
このあとの説はかなり哲学的な内容に踏み込んでいくので、共同体感覚の詳しい話が気になる方は本で学んでいただきたいと思うのですが
ここで一番私が感銘を受けたのが「自己受容」の考え方でした。
自己肯定と自己受容は異なる
アドラーは「自己肯定」と「自己受容」は異なるものだといいます。
自己肯定というのは「出来もしないのに私は出来る」と自分に暗示をかけることで、自己受容は「ありのままの自分を受け入れること」といいます。
出来ない事を認め、どうやったら出来るのか変えられる事を変えて理想に近づいていく「肯定的な諦め」をする事を言います。
私は当時恐れ多くもメディアで取り上げられる優秀な一流クリエイターと自分を比較して「自分も出来るはずだ」と思っていました。
そう思い込み、がむしゃらに頑張る事で自分をそこに近づけようとしていました。
機会さえあれば、自分だって同じ事が出来るはずだと。
しかし、自己受容をする事によって「彼らと自分は違う」という事を受け入れ何が足りないのかを考えられるようになりました。
そして彼らには無いけど自分の持つ能力にも気付けるようになってきました。
彼らに対する嫉妬や競争心が無いかと言われたら嘘になりますが、自己受容をしたおかけで自分の進むべき道が見えて、気持ちもだいぶ楽になりました。
『嫌われる勇気』を自分にどう落とし込むか
この記事を読んで内容に興味をもち「もっと深く知りたい」と思った方の為に、
最後に『嫌われる勇気』の読み方についてお話をしたいと思います。
基本的に読み方は人それぞれだと思うのですが
私は「少しずつ読む」という事をして欲しい思っています。
この本は、哲学者と青年の対話というスタイルで話が進んでいきます。
哲学者と青年の会話を通して、アドラー心理学をスムーズに受け入れられるのではないかと思います。
そして、あなたが「苦しんでいれば苦しんでいるほど」「頑張っていれば頑張っているほど」この内容を受け入れると共に、自分の中に色々な葛藤が出てくるのはずです。
そのたび、1度『嫌われる勇気』から離れてその葛藤ととことんと向き合って欲しいのです。
そうすることで、単に知識としてではなく「生き方(ライフスタイル)」としてのアドラー心理学が身につくはずです。
『嫌われる勇気』はオーディオブックでも楽しめる
まず、オーディオブックというものを知らない人の為に、簡単に紹介します。
オーディオブックとは、本を朗読している音源を耳で聴くサービスになります。
多くのサービスが出ていますが、私はAmazonの出しているAmazonオーディブルを活用しました。
気に入らなかった本を返品出来る「返本サービス」や「最新の本もラインナップに入ってくる」など他のオーディオブックサイトとは一線を画するサービスです。
また、なんといっても30日間の無料体験期間があって、アプリの使い方などユーザビリティの確認も出来たのが大きかったですね。
哲学者と青年の会話形式という本のスタイルもオーディオブックにぴったりでしたね。
青年の葛藤が自分ごと化出来ました。
Amazonオーディブルの詳しい使い方は「最初の1冊無料 Amazonオーディブルの使い方とおすすめの本」でも解説しています。
紙の本でじっくり読むのも良いすが、本の内容に半信半疑ならばまずは無料で試しに聴いてみてください。とにかく一度アドラー心理学に触れてみて下さい。
自分の人生は自分の意識の変化と、自分の行動でしか変えられないのですから。
