この記事では、広告代理店から転職を考えている方に向けて「どの業界がおすすめか」というお話を書かせていただきたいと思います。
「思っていた業界と違った」「忙しい仕事が大丈夫だと思っていたがプライベートの重要性に気付いた」「理想の仕事に向けキャリアアップをしたい」など、転職理由は様々かと思います。
そこで、この記事では色々な広告代理店の知り合いの情報をもとに、私が取りまとめた広告代理店からの転職先の情報をお伝えして参考にしていただきながら、スキル&ニーズ別にオススメの業界と、転職理由別にオススメの業界を紹介しています。

みんな広告代理店からどこに転職しているの?
それでは早速、広告代理店の人間がどこへ転職をしているのかという情報を書いていきたいと思います。
- プラットフォーマー
- メッセージアプリの会社
- 最近ZOZOを買収した企業
- 競合の代理店(外資等含む)
- メディア側(雑誌とかラジオとか)
- クライアント側(事業側)
- 外資系保険屋さん
- クリエイティブブティック
- ベンチャー立ち上げ
- ベンチャー参画
- 企業CMO
- 独立
- 旅人
- アーティスト
etc…
そして上位の会社は正社員への登用が少ない事で知られており、そこで正社員になれなかった人がその他の代理店の面接を受けるという流れが1つあります。
あとは、クリエイティブ職だったけど今はアーティストなんて人は数多くいます。
広告代理店から転職する時の経験者のスキルとニーズ
1つ前に、広告代理店からどこに転職しているのかの事例を書きましたが、次に「広告代理店経験者」というキャラクターに求められるニーズとスキルについて解説していきます。
キャリアというのは基本的には積み上げ式であり、リセットをしてしまうと人材価値は下がると言われています。
入社2、3年目までであればリセットして考えてもいいかもしれませんが、それ以降は何かしら自分の経験やスキルを活かせる職業への転職をして行くべきです。
ここでは、広告代理店の経験者に対して採用企業から「どんなスキル」があるのかと、「どんなニーズ」があるのかを解説していきたいと思います。
広告代理店が得られるスキル
一般的に広告代理店勤務者が得られるスキルには、下記の様なものがあります。※マーケティングやクリエイティブが得られるスキルは言わずもがななので、今回は営業に絞って考えてみます。
- 課題発見能力と解決能力
- プロジェクトマネジメント能力
- 進行管理・予算管理能力
コミュニケーションのプロなので、そういった仕事を求められる事も、もしかしたらあるかもしれませんが、広告代理店の営業経験者で優秀と言われる人たちは上記のスキルが抜群に備わっています。
広告やコミュニケーションの何かを任せたいというよりかは「上記のスキルに加えて広告業界での知見(良い協力会社や価格感など)があるからマーケティング”まで”任せられる」と思っている採用担当者が多いと思います。
また、ある企業の採用担当にヒアリングしたところ、ある程度の年数を広告代理店の営業職として過ごした人は上記スキルに加えて「メンタル・タフネス、マルチタスク能力、気が利くなどの素養を持っている印象がある。」と言っていました。
タイトな納期、コロコロ変わるクライアント予見、そしてプロジェクトを支える10名を超えるスタッフのコントロールなどはまさに戦場。この修羅場を乗り切ってきた営業担当というのは、一定の信頼があるようです。
広告代理店が得られるスキル
ではいよいよ、そんな広告代理店にどんなところから声をかけられるかを書いていきたいと思います。
- メディア
- 広告媒体の提供をする会社
- 大手プラットフォーマー
- ベンチャー(資金調達後)
- コンサル会社
しかし、大手のトラディショナルメディアが徐々に衰退する一方で広告媒体の提供をする会社は増えてきています。
ネット企業の顧客データを元にした広告媒体や、最近流行りのタクシーの中のビジョンの販売など新たな広告媒体が生まれていく中では、その広告を販売する人間が不足しており、求められています。
大手のプラットフォーマー(GAFA)等も基本的には求めるものは一緒です。
広告というマネタイズ手法を上手く実現してくれる人間を欲しています。
というのも、システムコンサルは最終的にはコンサルの結果をもとにシステム導入から広告手法提案まで実施するので、広告のノウハウを持った人間を欲しがります。
広告代理店から転職する時の理由別のオススメ業界
さて、私の周りの人間が広告代理店からどんな業界に転職をしているのかという話から、広告代理店で得られるスキルとニーズの話をしてきました。
しかし、本当に幸せな転職をするためにはそれぞれの転職する理由に合った転職先が一番だと私は思っています。
あなたはなぜ転職を考えているのでしょうか。
私も人生で何度も「辞めたい」と思った事はありますが、辞めたいと思う理由はそのタイミングタイミングで異なっていました。
「辞めたい」と思う背景には、それなりの理由があるはずです。
この理由に向き合わずに単に広告代理店からの転職という軸だけで業界を選ぶとまた同じ問題に直面する可能性があります。
次にあげる転職理由は、私の周りの人が口にしていた理由です。
しかし「その理由と合っている転職先なのか?」と疑問に思う事は少なくありませんでした。
そこで、私が聞いた転職理由の中で特に多かった転職理由をピックアップし、その理由別にオススメの業界を考えていきたいと思います。
ピックアップした転職理由は下記です。
- 想像していたよりも激務だった
- 配属された部署が希望の部署ではなかった
- クライアントの犬に成り下がっている感じがする
- 広告代理店には最終的に決定権が無い
- 給料が安かった
それぞれを解説していきましょう。
想像していたよりも激務だった
まずは、広告代理店に入って激務である事に不満のパターンですね。
一昔まえだったらもうこういう理由は甘いとしか言いようが無いという感じでしたが、働き方改革以降どの会社もクリーンさを表に出してきました。
最近入社した若者からしたら「こんな激務なのか」という感覚はあるかもしれません。
また、激務を覚悟していたとしても実際にやったことが無いわけですので、実際経験してみるとものすごい辛いというのは分かります。
そんな人達にオススメなのが大手で労務管理がしっかりしているところです。
かつ、給料の低下が少ないところでいくと
- 通信会社
- インフラ(鉄道等)
- 素材系メーカー(帝人・AGC等)
- Yahoo!
※それぞれ部署による
上記はあくまでも数字上の労働時間と給料を見て判断しているが、どこにでも激務部署はある。そこで、転職時にきちんと「労働時間」の話をして、転職先でまた激務環境に陥らないように気をつけよう。
配属された部署が希望の部署ではなかった
続いては、配属ガチャで敗れてしまった時の対応だ。
例えば営業希望がマーケ(あまり無いが)、クリエイティブ希望が営業などだ。
この場合は、まず社内異動が出来ないかを確認しよう。
※詳しい配属ガチャに関しては『配属ガチャに直面する人に伝えたい、ガチャ対策とハズレた場合の対応法』で解説しています。
もし、どうしても社内の異動が出来ないとしたらそれを叶えるのは希望する職種別に変わってきます。
営業職になりたかった場合
あまり無い事例ではありますが、営業職になりたかったのに別職種になってしまった人の場合です。(総務や人事)
その場合は幸せな事に、総合広告代理店はだいたい募集をかけており、かつ若手の第二新卒はほぼ実務経験を求められない事だ。
なので、営業職になりたかった場合は他の総合広告代理店(出来れば上位)へ転職しよう。
※ただし電通の場合はそれ以上上位の代理店がなくあまりオススメはしないのと営業職は大半が契約社員からのスタートになります
マーケ職になりたかった場合
マーケ職になりたかったけど、営業やデジタル系の部門、その他の職種になってしまった場合も比較的選択肢はある。
代表的なのは「他の代理店のマーケ」「ベンチャーのマーケ職」や「デジタル系企業マーケ」などです。
意外かと思うのですが、やる気とベースの知識さえあればマーケ経験がなくても入れる会社があります。(ただし、電博はほぼ他代理店のマーケやコンサル等の経験者)根気強く各社をあたってみましょう。
また、その他の選択肢で気をつけないといけないのはベンチャーはマーケという名の何でも屋として採用をしている場合も多く、デジタル系のマーケはCVR、CPA、CTRを追い求め続ける系の仕事が多く想像しているマーケティング職と異なる可能性がある事です。
「マーケ」といっても幅広いので、転職時にエージェントなどを通してきちんと業務内容をヒアリングしておきましょう。
転職エージェントを選ぶ場合はマーケティング職に強い「シンアド転職エージェント」 の利用をオススメします。
この記事では、広告代理店に転職をしたいと思っている方におすすめの「シンアド転職エージェント」について紹介をしています。シンアド転職エージェントを使ってみたいけど「評判を知りたい」「本当に広告業界に強いの?」と思っている方も多いので[…]
クリエイティブ職になりたかった場合
クリエイティブ職になりたかった場合は、美術系の大学を出ていたりテクノロジー系の採用でクリエイティブを狙っていたのに配属が違った場合は、第二新卒で拾ってくれるところは多くあるでしょう。
しかし、コピー系のクリエイティブ職は広告代理店のクリエイティブ職へ未経験で転職というのはあまり事例が無いんです。
やり方としては「コピーライター養成講座」に通って小さな制作会社のコピーライターとして下積みをして、そこから広告代理店へ転職するという方法や、独立系のクリエイティブブティックや巨匠(コピーライター)にやる気の未経験採用をしてもらう方法はありますが、正直このご時世にこのキャリアデザインは出口が無くなる可能性がありオススメはしていません。
それでも、コピーに夢がある場合はチャレンジしてみるのもありでしょう。
転職エージェントを選ぶ場合は広告関連のニッチな採用がたくさんあるマスメディアン の利用をおすすめします。
希望職種別のおすすめ転職先まとめ
各職種別の、オススメの転職先をあげてきましたが、あらためて下記でまとめておきます。
- 上位代理店への転職
- 他の代理店のマーケ職への転職
- ベンチャーマーケ職への転職
- デジタル企業のマーケ職への転職
- 制作会社のコピーライターへの転職
- クリエイティブブティックへの入社
- 巨匠への弟子入り
となります。
クライアントの犬に成り下がっている感じがする
これは受注産業の永遠の悩みです。
広告代理店に厳しい要求をして、奴隷の様に扱うクライアントがいることは残念ながら事実です。
最近ではこういう下請けへのいじめを「クライアントハラスメント」として大きな会社ではリーガルリスクを減らすために対策の研修をしているところもあります。
しかし、覚えておいて下さい。
広告の受発注に限らずビジネスには売る人がいて、買う人がいます。
B2CからB2Bへ転職をした人は「エンドユーザー(一般消費者)のクレーム対応は本当に気が狂う。まだ会社対会社の方が話が通じる。」と言います。
その上で、ですが比較的受発注の関係上で無理を言われにくい(優位に立ちやすい)転職先をご紹介します。
- 通信会社
- エネルギー
- インフラ(鉄道等)
- Google等プラットフォーム
※それぞれ部署による
通信やエネルギー、インフラなどはエンドユーザーを子会社にまかせている事が多く、エンドユーザーに対してサービスを提供しているものの直接的なクレームを受けることが少ないです。
とはいえ、通信会社にも大口の得意先(法人)がいたり、Google等のプラットフォームも代理店のメディアバイイングの部署がお客さんになったりとB2Bの営業をしなければならないところはあります。
特にプラットフォームの広告枠販売の営業は、代理店から行きやすいコースの一つなので希望しない場合はしっかりとエージェントを通してか直接伝えましょう。
広告代理店には最終的に決定権が無い
続いて、広告代理店には最終的な決定権が無いと感じて転職を希望される方にオススメの業界です。
徹夜で考えて、とても良い提案が出来たと思っても広告代理店は提案は出来ますが決定をする権利はもってません。
なので、本当に良いと思っていた提案が採用されない事なんて多々あります。(それを通すのも代理店の仕事ですが)そのうちに「自分だったらもっとこうするのに」と思いクライアントサイドへ行きたいと思うことはあるでしょう。
この、クライアントサイドに行って広告を作ったりマーケティングをする事を、広告代理店では「事業側に行く」と言います。
- マーケの専門キャリアのある会社
- ライアントに引っ張られる
例えば洗剤を作るメーカーの一番の目的は「良い洗剤を開発・販売する」ことであり「その洗剤で人々を幸せにする」ことです。
そこで、事業会社でも当然の様に人事異動があり早ければ数年で営業部に異動を命じられることだってあります。
また、クライアントに引っ張られるケースは普通に転職するよりもその部署で生き延びられる可能性が高いので専門職がなければ、クライアントに引っ張ってもらえるような幸せな転職を目指してみて下さい。
給料が安かった
給料が思ったより安かったと感じる人の転職先を考えるとは、会社によって大きく差があるのでとても難しいです。
ただ、間違いなく言えるのは上位2社の代理店給与よりも高い会社となると相当限られてくるという事です。
年収のイメージは電通が10だとすると博報堂が9、それ以下が6〜7の割合で下がっていきます。OpenWorkの発表している時給ランキングで見ても電通が既に11位に入ってきているので上位2社が年収を上げるとなるとベンチャー役員などのポジションを狙うか企業・独立、上位コンサル、成果報酬制の企業などになってくるかと思います。
それ以外の会社は、比較的多くの会社で年収を上げる余地がまだ残されてはいると思います。しかし、気をつけていただきたいのが年収の年齢による傾斜率です。
古き良き大企業の中には最初の20代などは年収は少ないが、年齢が上がってくると突然1,000万プレイヤー、1,500万プレイヤーへと変身したりする企業があります。
例えば、代理店で20代700万をもらう人が周りを見渡すと多くの会社が自分の年収を下回っています。しかし、40で逆転し、50で差をつけられる事もあるので、生涯賃金で考えると他の会社の方が高い場合もあります。
また、プラットフォーム系の企業で最初は気前よく高い年収を提示するが曖昧な評価制度でなかなか年収が上がらない企業もあると聞きます。例えば、30歳で800万で入社して35歳まで5年働いたのにほとんど給料が上がっていない人もいます。
ずっとジョブホッピングしていくのなら「今一番年収の高い企業」でよいのかもしれないですが、長く働くことも考えているのなら生涯年収というものさしで検討することを忘れないでください。
- 上位商社
- 上位コンサル
- その他年収ランキングの上位
その会社に入るには、自分にそれだけの価値が無いと難しいと言えます。
広告代理店から転職する時に転職エージェントは使った方が良いのか
では、業界を決めたらどう動けばよいのかですが、よほど特殊な選択をしない限りは私は転職エージェントを利用する事をオススメします。
私が転職エージェントをオススメする理由は下記の2つです。
- 自分の中に無い選択肢を提示してくれる
- 給料交渉をしてくれる
自分の中に無い選択肢を提示してくれる
まず、1つめの「自分の中に無い選択肢を提示してくれる」という部分ですが、広告代理店で働いているとかなり狭い視野で転職先を考えがちです。
自分の見聞きした情報の中でジャッジをしようとしてしまいます。
転職エージェントに希望を伝えてどんな企業があるかを聞いていくうちに自分の中になかった選択肢を提示してもらう事は、最終的にその企業を選ばなかったとしてもその企業を選ばない理由こそが自分が次の企業を選ぶ理由にもなります。
なので、多くの選択肢を提示してもらうようにしましょう。
特にリクルートエージェントは国内最大なので、非常に多くの案件を常時保有しています。登録をしておいて損はないでしょう。
給料交渉などを強くしてくれる
次に、給料交渉などを強くしてくれる点です。
「自分でも出来るじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、いざその段階になると自分がお世話になるかもしれない会社の人たちに「給料をもっと上げて欲しい」とは言いにくいです。
私も実際に直接応募の企業で給与交渉が出来なかったり、先行前の情報と内定後の情報が異なっており全然希望しない部署への配属を提案されたときなども踏み込んだ指摘が出来ずに後悔したことがあります。
転職エージェントは年収の何割かを成果報酬として得る職業の人たちなので転職者の年収を上げる事に関してはもうプロ中のプロです。(ちょっといい方は悪いですが)
しっかりと間に入ってもらって、しっかりと交渉をしてもらいましょう。
いつも間に入っている広告代理店の人間ってつい同じ思いをさせたくないと遠慮してしまうのですが、ガッツリ間に挟まってもらいましょう!
また、どういった転職サイトを使えばよいのかに関しては『おすすめの転職サイトを紹介!後悔しないための転職サイト選びに』まとめてあります。私の転職体験を元に、おすすめ企業が書かれています。
おすすめの転職サイトを探す時、あなたは何を基準に選びますか?求人数、担当のホスピタリティー、特化型の転職サイトかそうでないか。それは、全て正解です。けれど、最適な転職サイトは人によって異なります。もし、選ぶエージェントを間違えると[…]
さらに、広告業界への転職の意思を固めている人は広告業界に特化した転職サイトを使うのもオススメです。広告業界に特化している転職サイト・転職エージェントの紹介は『広告代理店に転職する時にオススメしたい転職エージェント』でもご紹介をしています。
この記事では、私が未経験から広告代理店に転職をする時に、実際に私が使っていて良かった広告代理店を3つあげさせていただきます。広告代理店への転職というのは、一般企業への転職と比べて業界を指定して転職をすることが多いです。その観点から[…]
広告業界は人材の流動性がとても高く、転職を考えている人が多い業界です。
しかし、周りに流されずにマーケットを把握しながらも、きちんと自分と向き合い、後悔の無い転職活動をしてください。
それではまた。